エストニア語(エストニアご、eesti keel)はウラル語族・フィン・ウゴル語派・バルト・フィン諸語に属する言語。話者は約110万人で、エストニアの主要言語であり、また公用語となっている。フィンランド語に近く、ハンガリー語とも系統を同じくする。 南エストニア方言とタリン周辺で使われる北エストニア方言の2つの方言があり、うち後者が現在の標準語の元となっている。 ドイツ語の影響 他のバルト諸国同様、エストニアにはドイツ系移民が多く、このためエストニア語は語彙および統語法の両面でドイツ語の影響を強く受けている。言語形態論的には、ウラル語族に多い膠着語からインド・ヨーロッパ語族に多い屈折語(総合的言語)への移行形態を見せている。 文法 名詞に性はないが、単数と複数の数をもち、また14の格変化を有する。形容詞は名詞同様に数および格変化を有する。対格を持たず、直接目的語は属格あるいは分格によって表す。直接目的語は否定文においてはつねに分格となる。肯定文におけるこの区別は動詞の相における完了相と不完了相の対立におおまかに対応しており一般に可算である個体に対しては属格、非可算な非個体に対しては分格を用いる。 母音の長短には短・長・超長母音の三段階の変化がある。ウラル語族の特徴である母音調和は現在は消失している。 表記にはラテン文字を用いる。ただし c, f, q, w, x, y は外国語由来の語にのみ用いられる。エストニア語独自の文字としては、š, ž, ä, ö, ü, õ がある。 õ は非円唇の o である。 現存するエストニア語の最古のテキストは、手稿、印刷稿とも16世紀前半に書かれたものである。エストニア語の文章語はこの時期から確立していった。当初はドイツ人ルター派宣教者が主なエストニア語文章化の担い手であり、当初使われた表記は低地ドイツ語の影響を強く受けたものであった。しかしフィン語の影響を受けた新しい表記法が次第に使われるようになり、19世紀には後者が優位を占めるようになった。現在の正書法は後者に由来する。 |
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